618商戦とは、毎年6月18日付近に京東商城（JD.com）が開催する中国の大型ECセールです。
中国シェアNo.2の大手ECサイト・京東商城（JD.com）の設立日である6月18日にちなんで、2010年からスタートしました。
近年では京東商城に対抗するためにタオバオや天猫、唯品会などの大型ＥＣモールでもセールやイベントを開催していることから、「618商戦」と呼ばれるようになりました
近年では、6月18日の直前だけではなく、プレセールといった形で2〜3週間前からセールが開催されたり、多くのクーポンが配られるといった傾向になっています。
では、各プラットフォームの「618商戦」のキャンペーン内容について見ていきましょう！
2023年618商戦の総売上は？
星图によると、2023年5月31日20時から2023年6月18日24時までの間、Eコマースおよびライブ配信の累積売上高は7987億元（日本円でおよそ16兆円）と発表されました。
Eコマースの売上では天猫（Tmal）がトップの座を占め、次いで京東商城（JD.com）、拼多多が3位となっています
また、「618」期間中のライブ配信の累積売上高は1844億元となり， ライブ配信では、「抖音（Douyin）」が大きな差をつけてトップとなり、2位は「点淘」、3位は「快手」という結果結果になりました。
2023年618商戦では美容分野が好調！
星图によると、2023年618商戦の美容部門の売上は300億元。2022年の307億元を上回る成績は出せませんでした。
しかし、果集、飞瓜の統計による抖音（Douyin）のデータでは、今年の618商戦（統計期間：5月25日～6月18日）の美容分野の総取引額は昨年に比べ69.12％増加した150億元を記録しました。
全編中国語となっておりますが、美容部門に関する詳細は以下からご覧ください。
618商戦で安定の好調具合を見せた美容部門。その他にも2023年の618商戦で「伸び」を見せたカテゴリーを3つ紹介します。
フレグランス部門
フレグランス部門の総売り上げは103億元。 天猫（Tmal）では韓国コスメブランドの３CEが、京東商城（JD.com）ではサンローランがそれぞれ売上1位を獲得しました。
フレグランスカテゴリーは化粧品部門の30％を占め、「フレグランス」は徐々に「口紅」に取って代わる人気商品になりつつあります。「フレグランス経済」は中国において大きな可能性を秘めているのです。
日用品部門
日用品部門の総売り上げは144億元。 天猫（Tmal）ではwhisperが、京東商城（JD.com）では维达がそれぞれ売上1位を獲得しました。
洗顔料やシャンプー、洗濯洗剤などの日用品に対するニーズはますます変化し、「昔ながらのボディソープ」から「香りつきボディソープ」を購入する人が増えるなど、日用品の人気商品にも変化が生じています。
また、「なまけ者経済」ブームの到来により、「見た目・機能が良い」かつ「手入れが簡単」な製品の需要が高まったことも、日用品部門が伸びた要因となりました。
健康部門
健康部門の総売り上げは88億元。天猫（Tmal）、京東商城（JD.com）どちらでもSwisserが売上1位を獲得しました。
新型コロナウイルスの流行によって、国民全体の健康意識が向上し、「治療より栄養」「治療より予防」という考え方が広がったことにより、栄養と健康は人気のあるカテゴリーとなりました。特に新型コロナウイルスの後遺症や症状軽減に効果のある薬・サプリメントの売上は大幅に増加しました。
2023年の「618商戦」に行われたキャンペーンは？
近年の618商戦では、6月18日の直前だけではなく、プレセールといった形で2〜3週間前からセールが開催されたり、多くのクーポンが配られるといった傾向になっています。
ここからは、京東商城（JD.com）、淘宝（タオバオ）、抖音（Douyin）、快手（KuaiShou）が「618商戦」でそれぞれ行ったキャンペーン内容を紹介します。
京東商城（JD.com）
プレセール：5月23日20時～
販売開始：5月31日20時～
キャンペーン内容：全商品割引、合計200元以上の購入で利用できる20元引きのクーポンを1日最大3枚もらえる。
淘宝（タオバオ）
プレセール：5月26日20時～
第1ラウンド：5月31日～6月3日、第2ラウンド：6月15日～6月20日
キャンペーン内容：合計300元以上の購入で50元引き、共同購入サイト聚划算の全商品20％割引、もし淘宝で購入した商品が他のECサイトより高かった場合には淘宝が弁償
抖音（Douyin）
ウォーミングアップ期間：5月25日～30日
イベント：5月31日～6月18日
キャンペーン内容：合計150元以上の購入で25元引き
快手（KuaiShou）
プレセール：5月18日～31日
販売開始：6月1日～18日
キャンペーン内容：合計200元以上の購入で30元引き、手付金支払い後の残り金額から30％割引、およそ10億の商品に対し15％の補助金が提供される
いかがでしょうか。どのプラットフォームも「安さ」に焦点を当てたキャンペーンとなっています。
2023年の618商戦は予想外の結果に？
では、ECプラットフォーム各社が行ったキャンペーンは、2023年の618商戦の結果にどのような影響を与えたのでしょうか。
2023年の「618商戦」は、京東の創立20周年と重なるため、史上最も多くの投資と加盟店の成長を支援する取り組みが行われる「618商戦」になり、2022年を超える売り上げが期待されると予想されていました。確かに売り上げは2022年を超えたものの、予想されていたほどの盛り上がりを見せることなく終わりを迎えました。
消費者を引き付けるために、京東（JD.com）と淘宝（タオバオ）は「618〜史上最大の投資～」をキャッチフレーズに宣伝活動を行っていました。参加するプラットフォームも従来よりも増え、上記の2社に加えて、快手（KuaiShou）、小红书（RED）、微信视频（WechatVideo）なども参加し、618商戦を盛り上げようとしていました。
では、なぜ予想と異なった結果になったのでしょうか。考えられる理由を見ていきましょう。
最低価格を狙う作戦は今の消費者に合わない？
予想外の結果に終わった原因は「プラットフォーム」、「企業」、「消費者」の意識の不一致にあったと考えられます。
プラットフォームは「利益を最大化する」ことを目指し、店舗は「在庫を売却する」ことで損失を抑えようとしていました。一方で、消費者はできるだけ支出を抑えようとしています。プラットフォーム、店舗、消費者は今年の「618プロモーション」に対して同じ認識を持っていない状況だったのです。
ようやく新型コロナウイルスから解放されたとして、2023年の618商戦は各プラットフォームのみならず企業もセールの大成功を大いに期待しキャンペーンに力を入れていました。
しかし、消費者が求めているのは「安さ」ではなく「合理的消費」。消費者のニーズに合ったキャンペーンではなかったため、大きな盛り上がりを見せることなく終わってしまったのです。
まとめ
今年の618商戦は2022年と比べ売り上げを伸ばすことができましたが、「手付金割引キャンペーン」や「他の店より1円でも安く売る戦法」など、安さ重視のおなじみのキャンペーン内容は時代とともに消費者のニーズを満たせなくなっていることが今年の618商戦で明らかになりました。
また、今年の結果からフレグランスなどの「香り」と関係する商品の人気が中国で高まってきていることが分かりました。
各プラットフォームのキャンペーン内容と消費者の消費動向の不一致が生じてしまった今年の618商戦。Eコマースやライブ配信では変わりつつある消費者の消費傾向にあったキャンペーン・商品宣伝を行うことが必要です。
今回は2023年の「618商戦」についての情報をお届けしました！
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